竹内智香　オフィシャルブログ

おはようございます。
昨日レースを終えて家に戻ってきました。

今日は午前中ジムでウェイト。
そのあとはスイスの新聞の取材。
午後からは部屋でエアロバイクを１時間。

そんな1日を過ごしました☆


レース結果は6位。
悔しいけど
私にとってとても大切な一歩でした。

昨年の2月から今日まで
本当に長かった。

どんなに練習で調子が良くても
どんなにトレーニングタイムが良くても
どんなに成績が良くても

レースで
心技体＋タイムが噛み合ない事は苦しい。

私の100％のレベルは昨季以上のものがあります。
それはクラッシュバーグの予選
今回の予選共に上位という結果に現れています。

一緒に練習しているチームメートやコーチは
レースで私の滑りを見て
『目を背けたくなるような滑り。
　タイム、悪いだろうなと思って
　恐る恐るタイムを見に行くと2位。
　あの滑りで予選上位で進めるということは
　智香の本来の力を出したときが本当に楽しみだ』
と。。。

昨季の予選上位と今季の予選上位は内容が全く違う。

だけど感覚としては昨季の方が安心ができる。
それは自分の感覚とタイムが噛み合うから
レース展開を作りやすい。
だけど、今季は自分の感覚でいくと
限界スピードが高くなりすぎていて
今季は失敗も多い。
だからクラッシュバーグからは
一緒に滑るとなりの選手の様子を見ながら
平行して滑ることが多い。

だけど今回のレースで
どんな感覚で滑ればどの程度のタイムが出るのか
判断がつきました。

だから次からのレースは
自分らしいレース展開ができると思います☆



12月末に書いた
『乗り越えたい壁』
それをようやく乗り越えることができました。
それは上記に書いたことではなく。。。

この3年間本当にいろんな事がありました。
特にこの１年は長かった。


そして昨季の結果が
ピンと張っていた気持ちを
一旦、途切れてしまった原因でもありました。

去年の結果を得るまで
私はスイスに来た事で
必ず結果を残さなければいけない。
日本チームを離れた以上
この道を選んだことが正しいと証明するために
結果、数字だけを残さなければいけないと。。。

その『ため』に頑張っていた。
認めてもらいたくて頑張ってた。
だけど昨季結果が出て
ある程度こちらで活動することが
認められたと感じた瞬間。。。
初めて目標を失っていた。

『ため』に頑張ると
それを達成したとき
どの道を歩んだらいいかわからなくなる。

そして目標を失う。

誰かの『ため』に、何かの『ため』に、
スノーボードをするのではなく
心からスノーボードが好きであるということ。
楽しむ心を持つ事。
純粋に世界一になりたいと思うこと。

大切なのは今、自分が何をしたいのか。。。

それに気づくことができて
新たな道を見つけることができた今、
心から素直に世界一を目指せます。


それがここ１年間、
スノーボードに集中することができていなかった原因。
スタートに立った時に
以前のように
スーッと一つの世界に入って行くことが
ここ１年間できなかった。

結果が出ない理由、原因はわかっていたけど
それをどうしたら解消できるのか
そのポイントを見つけることができなかった。


だけどそれが人生であるということ
スポーツの楽しさであるということ

それに向かって諦めずに進むことが
どれだけ大切なことか。。。

そして今回のレースでようやく
１年ぶりに自分の世界だけに入って行ける
空間を見つけることができました。

レースのあとシモンと話をしました。
ここまで前を向いて乗り越えられて来たのは
シモン、フィリップ、マーク、クリスチャンの存在が
本当に大きかった。

時には一言も話さない日もありました。
その度に私は
『暗くなってしまってごめんね。
　だけど、今どうしたら前に進めるのかわからないんだ。
　本当にごめん』

と伝えるといつもみんなは笑って

『苦しい時期があることは自分達も経験している。
　智香はスイスに家族がいない分
　もっと辛いと思う。
　泣きたければ泣けばいい。　
　話したくなければ話さなければいい。
　ただ、一言
　「今、辛いから時間がほしい」
　って言ってもらえれば私たちは理解できるから。』

いつもそう言ってくれた。

レースの後シモンに

『ここまで本当にありがとう』

って伝えたら

『「ありがとう」は言わなくていいよ。
　前に進めたのは、乗り越えられたのは智香自身の成果なんだ。
　智香の人生は智香の手の中にある。
　私たちが智香の人生を支えているんじゃない。
　智香の人生を作れるのは智香自身なんだ。
　だから自分がここまでこうして乗り越えられたこと
　それは自分自身の成果と思って自信と誇りにするといいよ』

本当にありがたい言葉でした。


そしてレース前日のトレーニングの調子が良く
ビデオミーティングのあと
クリスチャンが握手をするために手を出してくれました。
私が

『なんで握手？』

って聞くと

『おめでとう。
　智香、これがスポーツだよ。
　良い時もあれば苦しい時もある。
　だけど苦しい時は何かを学べるチャンスなんだ』

と言ってくれました。
そして雪上を終えた後もシモンやフィリップに

『今日はどうだった？』

って聞かれたから

『ものすごくいいよ。
　やっと全てが揃ってきている。
　ここまで長かった』

と言うと

『私たちは何も恐れていなかったよ。
　智香が世界一の選手であるということを信じている。
　だから安心してこの日を待っていたよ』

世界のトップを経験した彼らが
支えてくれていたから
上から下へ落ちる苦しさを知っている
彼らが助言してくれていたから
私はいつも笑って
前だけを見て過ごせていたんだと思う。

そしてふと思い出したのは
2008年1月11日のブログ。

こんな事が書いてある。

　今回もスイスチームの成績はあまり良くなかった。
　昨日のワールドカップでクリスチャンが
　「スイスチームからベスト８に残ったのは智香だけだ。
　　必ず優勝するんだ！」
　　って言われたとき私は
　「フレンツィやパトレシアと一緒にファイナルで戦いたいね！」
　　って答えた。そしたら彼は
　「今スイスチームは何かを学ぶときなんだよ。
　　ここ数年ずっと総合優勝をして強かった。
　　今少し下に落ちたけどこれは何かを学べるチャンスなんだ。　　
　　ずっと上位でいることは難しい。
　　智香もいつか調子が悪く落ちるときがくるかもしれない。
　　その時にどれだけ強くなれるかが大切なんだよ。
　　これはスポーツだから」
　というふうに言っていた。

『智香もいつか調子が落ちるときがくるかもしれない』

調子がいいとき、上がり調子の時は
この助言を記憶の中に残すことができていなかった。
だけど、今この言葉の意味が本当にわかる。

そしてつくづく思う。
素晴らしい人たちに支えられいる毎日です。



ブログで書く言葉は
自分自身へのメッセージでもあり
その言葉に責任を持ち、
きっかけを作りたかった。

それができた今、
本当ゆったりとした、気持ちでいます。

今は自分でやりたいと思うことを
心から楽しめる。

この夏、
レースのためと思い
毎日トレーニングに明け暮れていました。
どんな時もトレーニングだけは
100％全力でやってきました。

だから今、
心技体、タイムが揃った今。

１本１本を楽しみ、良いレースをしたいと思います。

今後も応援よろしくお願い致します。

智香